扁桃炎
扁桃炎(へんとうえん)とは
扁桃炎は、喉の奥の左右にある扁桃腺にウイルスや細菌が感染して炎症を起こすことにより、高熱や喉の腫れ・赤み・痛みなどがでる病気です。扁桃腺は口の中に入ってきたウイルスや細菌などの病原体から身体を守る、免疫の働きをしており、免疫力が落ちているときに発症しやすいといわれています。
扁桃腺のはたらき
扁桃腺は、口の中に入ってきたウイルスや細菌などの病原体から身体を守る「免疫」の働きをしています。一方で、扁桃には元から溶連菌や肺炎球菌、黄色ブドウ球菌など様々な細菌(=常在菌)が存在しています。免疫機能が正常に働いていれば、多少菌が生息していても悪さをすることはありませんが、免疫機能が低下すると菌やウイルスが増殖して炎症が起こり扁桃炎を発症します。
急性扁桃炎ってどんなもの?
急性扁桃炎の症状
急性扁桃炎のはじまりは、喉が痛い、熱が出るといった、いわゆる風邪に似た症状が現れます。
風邪は治療しなくても自然に改善することがありますが、急性扁桃炎の場合は日に日に症状が悪化していきます。
のどの痛み(のどの痛みが強くて耳まで痛くなることもあります)
38~40℃の高熱(だるい、食欲がない、頭痛、関節痛をともなうこともあります)
首のリンパ節の腫れ
扁桃腺が赤く腫れて、白い斑点や膿のようなものが付いている(鏡で口の中をみると、ご自身でもわかることがあります)
このような症状があれば、急性扁桃炎の可能性があるので、あまり我慢せず、受診してください。
風邪は治療しなくても自然に改善することがありますが、急性扁桃炎の場合は日に日に症状が悪化していきます。
のどの痛み(のどの痛みが強くて耳まで痛くなることもあります)
38~40℃の高熱(だるい、食欲がない、頭痛、関節痛をともなうこともあります)
首のリンパ節の腫れ
扁桃腺が赤く腫れて、白い斑点や膿のようなものが付いている(鏡で口の中をみると、ご自身でもわかることがあります)
このような症状があれば、急性扁桃炎の可能性があるので、あまり我慢せず、受診してください。
処置や入院が必要なことも!扁桃周囲膿瘍とは?
(画像引用)扁桃周囲膿瘍|日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
https://www.jibika.or.jp/modules/disease/index.php?content_id=22
扁桃炎がこじれると、扁桃の周りの粘膜まで腫れる「扁桃周囲炎」扁桃の周囲に膿が溜まる「扁桃周囲膿瘍(へんとうしゅういのうよう)」へ進行することがあります。
気道(空気の通り道)を圧迫して息が苦しくなったり、膿瘍が首の深いところや胸部まで膿が広がり、最悪の場合には命を落とす可能性もあります。唾液が飲めないほどののどの強い痛みや、口が開かなくなる症状が出たときは要注意です。
治療は、抗菌薬の投与と並行して、排膿処置(穿刺・切開)が検討されます。
扁桃周囲炎・扁桃周囲膿瘍はしっかり治療をすることが重要です。入院治療が必要と判断した場合には、総合病院をご紹介させていただきます。
気道(空気の通り道)を圧迫して息が苦しくなったり、膿瘍が首の深いところや胸部まで膿が広がり、最悪の場合には命を落とす可能性もあります。唾液が飲めないほどののどの強い痛みや、口が開かなくなる症状が出たときは要注意です。
治療は、抗菌薬の投与と並行して、排膿処置(穿刺・切開)が検討されます。
扁桃周囲炎・扁桃周囲膿瘍はしっかり治療をすることが重要です。入院治療が必要と判断した場合には、総合病院をご紹介させていただきます。
どうして扁桃炎になるの?
扁桃炎を引き起こす直接の原因は、扁桃に対する細菌・ウイルスなどの微生物です。本来、扁桃は免疫の働きを担っており、微生物が悪さをしないように防いでいますが、免疫力が低下すると、病原体の感染力に負けて扁桃炎を発症します。つまり、体が弱っていると、扁桃炎になりやすくなる、といえます。
扁桃炎になりやすくなる要因
免疫力の低下を招く要因としては、ストレス・過労・睡眠不足・栄養不足などが挙げられます。
また、扁桃腺への物理的な刺激、外気温の寒暖差・風邪・のどの乾燥・喫煙・頻繁な飲酒も、扁桃炎の原因になります。
また、扁桃腺への物理的な刺激、外気温の寒暖差・風邪・のどの乾燥・喫煙・頻繁な飲酒も、扁桃炎の原因になります。
扁桃炎をおこす主な病原体
扁桃炎を引き起こす微生物には、以下のようなものがあります。
細菌
溶連菌・ブドウ球菌・インフルエンザ菌・肺炎球菌など
ウイルス
ライノウイルス・アデノウイルス・RSウイルス・EBウイルス・単純ヘルペスウイルスなど
細菌
溶連菌・ブドウ球菌・インフルエンザ菌・肺炎球菌など
ウイルス
ライノウイルス・アデノウイルス・RSウイルス・EBウイルス・単純ヘルペスウイルスなど
感染経路は
飛沫感染(咳・くしゃみなどに含まれる病原体を吸って感染すること)
または
接触感染(病原体の付いたドアノブ・手すりなどを触った手で、自分の口や鼻を触るなどして感染すること)
です。
自分が持っている口腔内の歯周病菌(放置した虫歯や歯周病)が原因で扁桃炎や扁桃周囲膿瘍になる場合もあります。
飛沫感染(咳・くしゃみなどに含まれる病原体を吸って感染すること)
または
接触感染(病原体の付いたドアノブ・手すりなどを触った手で、自分の口や鼻を触るなどして感染すること)
です。
自分が持っている口腔内の歯周病菌(放置した虫歯や歯周病)が原因で扁桃炎や扁桃周囲膿瘍になる場合もあります。
急性扁桃炎の検査・診断法
急性扁桃炎では、症状を問診・扁桃の状態を観察して、診断します。
また、必要に応じて、ウイルス・細菌の迅速検査、血液検査・尿検査・細菌培養検査などを行うことがあります。
また、必要に応じて、ウイルス・細菌の迅速検査、血液検査・尿検査・細菌培養検査などを行うことがあります。
問診・視診・触診
まずはお口の中を見せていただき、のどの状態を観察します。頸部を触診し、リンパ節の腫れを確認することもあります。
内視鏡検査
のどの痛みが強いときは、内視鏡を使ってのどの奥の腫れを確認します。
溶連菌迅速検査
患者さんの年齢や症状などから、溶連菌感染が疑われる場合に行う検査です。綿棒で喉をこすって調べることができ、5分程度で結果が分かります。インフルエンザやコロナの検査など他の検査と同時実施が可能です。
血液検査
白血球の増加や炎症の程度をみるCRP値などを確認します。(翌日の朝に結果が出ます 当日には結果がでません)
ウイルス性か、細菌性かを見極めるのに役に立ちます。
ウイルス性か、細菌性かを見極めるのに役に立ちます。
細菌培養検査
綿棒で扁桃をぬぐった液を培養して細菌の種類を調べます。症状が長引いているときに菌の種類を特定して、効果のある抗生物質を調べる目的で行う場合があります。
急性扁桃炎の治療
休養
早く治すには十分な休養が必要です。
ストレスを避け、安全安心な環境で、十分な睡眠と水分をとり、きちんと休んで完治させましょう。
ストレスを避け、安全安心な環境で、十分な睡眠と水分をとり、きちんと休んで完治させましょう。
薬物療法
原因がウイルスであれば症状を和らげるくすり、細菌であれば抗菌薬と症状を和らげるくすりで治療を行います。
ウイルス性の場合
細菌性の場合
ウイルス性の場合
- うがい薬
- 消炎鎮痛剤(非ステロイド)
細菌性の場合
- 抗菌薬(ペニシリン系)
基本的にはペニシリン系抗菌薬を使用しますが、他のタイプの抗菌薬を使用する場合もあります。
※薬が飲めないなどの重症時は総合病院に紹介します。
<抗菌薬(抗生物質)の服用ポイント>
抗生物質を服用すると、つらい症状は約3~4日で緩和されます。しかし、その段階では身体の中の細菌は死滅しておらず、体内に残っています。途中で服用を中止してしまうと、症状がぶり返す可能性があります。処方された抗生物質は、最後までしっかり飲みきりましょう。
抗生物質を服用すると、つらい症状は約3~4日で緩和されます。しかし、その段階では身体の中の細菌は死滅しておらず、体内に残っています。途中で服用を中止してしまうと、症状がぶり返す可能性があります。処方された抗生物質は、最後までしっかり飲みきりましょう。
外科的治療(処置)
急性扁桃炎がこじれて、扁桃周囲膿瘍になってしまっている場合には
扁桃周囲膿瘍穿刺(のどのおくに針を刺して膿を出す処置)
扁桃周囲膿瘍切開術(のどのおくをメスで切開して膿を出す処置)
などの処置が必要です。
※ここまで悪化してしまった場合は入院治療が望ましいので、総合病院への紹介を提案させていただきます。
扁桃周囲膿瘍穿刺(のどのおくに針を刺して膿を出す処置)
扁桃周囲膿瘍切開術(のどのおくをメスで切開して膿を出す処置)
などの処置が必要です。
※ここまで悪化してしまった場合は入院治療が望ましいので、総合病院への紹介を提案させていただきます。
急性扁桃炎と慢性扁桃炎
扁桃炎には、急に発症する急性扁桃炎と、扁桃炎を繰り返して扁桃の炎症が慢性化した状態となる慢性扁桃炎の2種類があります。急性扁桃炎を繰り返す病気を「習慣性扁桃炎」ともいいいます。
慢性扁桃炎とは?
慢性扁桃炎とは扁桃の炎症が長期的に(3か月以上)残る病態をいいます。急性扁桃炎に比べて症状は軽く、自覚症状がない場合も多いです。慢性扁桃炎のうち、頻繁に急性扁桃炎を繰り返す場合を反復性扁桃炎といいます。急性扁桃炎を繰り返していない場合を慢性単純性扁桃炎といいます。
慢性扁桃炎の症状
扁桃腺に慢性炎症があっても、無症状の場合も多くあります。
慢性単純性扁桃炎では、のどの軽い痛み、異物感(喉がイガイガする)、微熱、だるいなどの症状が出る場合もあります。
扁桃表面に膿がついた場合は口臭が強くなることもあります。
反復性扁桃炎では、急性扁桃炎になったり、治ったりを繰り返します(この場合、慢性扁桃炎の急性増悪と呼ぶ場合もあります)
慢性単純性扁桃炎では、のどの軽い痛み、異物感(喉がイガイガする)、微熱、だるいなどの症状が出る場合もあります。
扁桃表面に膿がついた場合は口臭が強くなることもあります。
反復性扁桃炎では、急性扁桃炎になったり、治ったりを繰り返します(この場合、慢性扁桃炎の急性増悪と呼ぶ場合もあります)
慢性扁桃炎が原因で、別の病気になることがある!扁桃病巣感染症とは?
扁桃病巣感染症とは扁桃腺の免疫学的異常が原因となり、他の臓器(皮膚、関節、腎臓など)に違った病気を起こすことを言います。IgA腎症、掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)、胸肋鎖骨過形成症(きょうろくさこつかけいせいしょう)などがあります。治療として扁桃摘出術が有効なことがあります。ただし、扁桃摘出術を受ければIgA腎症、掌蹠膿疱症が必ず治るというわけではありません。IgA腎症、掌蹠膿疱症と診断されており、手術治療を検討したいと考えている患者様は、内科や皮膚科の主治医とまずはよく相談することが必要です。
慢性扁桃炎の治療
生活習慣改善
ストレス、不規則な生活などで抵抗力が低下していると、扁桃の慢性炎症が続きやすく、急性扁桃炎を発症しやすくなります。
喫煙や飲酒などによる扁桃への刺激も、扁桃腺の慢性炎症が治らない原因となります。
歯の衛生状態が悪いことも、慢性炎症が続きやすい原因になります。
・規則正しい生活をする(早寝早起き、よく寝てよく食べる)
・ストレスをなるべく少なくする
・飲酒をやめる
・タバコは吸わない
・歯をきれいに保つ
これを気を付けるだけでも、急性扁桃炎になる回数を減らせたり、慢性扁桃炎によるさまざまな症状を減らすことができる場合も多いです。
喫煙や飲酒などによる扁桃への刺激も、扁桃腺の慢性炎症が治らない原因となります。
歯の衛生状態が悪いことも、慢性炎症が続きやすい原因になります。
・規則正しい生活をする(早寝早起き、よく寝てよく食べる)
・ストレスをなるべく少なくする
・飲酒をやめる
・タバコは吸わない
・歯をきれいに保つ
これを気を付けるだけでも、急性扁桃炎になる回数を減らせたり、慢性扁桃炎によるさまざまな症状を減らすことができる場合も多いです。
手術治療
一般に下記のような状態に該当する方は手術を受けることが考慮されます。
・急性扁桃炎を反復する方(年3~4回以上)
・急性扁桃炎の繰り返す回数は少ないが、ひとたび急性扁桃炎を発症すると症状が重く、入院や点滴治療が必要になる方
・扁桃周囲膿瘍や扁桃周囲炎を起こしたことのある方
・扁桃病巣感染症(IgA腎症・掌蹠膿疱症など)で、内科や皮膚科の主治医に扁桃摘出術を勧められた方
口蓋扁桃摘出術という手術で、全身麻酔の手術となり、施設によりますが5~7日程度の入院が必要です。
最終的に摘出した方が良いかどうかを決めるのは医師の意見というよりも、『扁桃炎が本人の生活の質にどれほどの影響を及ぼしているか』です。年に1、2回しか扁桃炎を発症しなくても、その1、2回が仕事や生活に多大な悪影響を及ぼし、ご本人が扁桃腺をとってしまいたいと考えれば手術適応だと考えています。(年1、2回しか起こさないから取らなくてもよいと、という先生は当然いらっしゃるとは思います)
手術については当院では行っておりませんので、総合病院に紹介させていただきます。
・急性扁桃炎を反復する方(年3~4回以上)
・急性扁桃炎の繰り返す回数は少ないが、ひとたび急性扁桃炎を発症すると症状が重く、入院や点滴治療が必要になる方
・扁桃周囲膿瘍や扁桃周囲炎を起こしたことのある方
・扁桃病巣感染症(IgA腎症・掌蹠膿疱症など)で、内科や皮膚科の主治医に扁桃摘出術を勧められた方
口蓋扁桃摘出術という手術で、全身麻酔の手術となり、施設によりますが5~7日程度の入院が必要です。
最終的に摘出した方が良いかどうかを決めるのは医師の意見というよりも、『扁桃炎が本人の生活の質にどれほどの影響を及ぼしているか』です。年に1、2回しか扁桃炎を発症しなくても、その1、2回が仕事や生活に多大な悪影響を及ぼし、ご本人が扁桃腺をとってしまいたいと考えれば手術適応だと考えています。(年1、2回しか起こさないから取らなくてもよいと、という先生は当然いらっしゃるとは思います)
手術については当院では行っておりませんので、総合病院に紹介させていただきます。
よくあるご質問
Q.扁桃炎は他人にうつりますか?
扁桃炎は感染症のひとつです。主に感染者の咳・くしゃみなどの飛沫、飛沫の付いたものを触る、一緒のお皿・お箸・コップを使って食事をするなどによって、他の人にうつります。ただし、病原体に接触した全員が発症するとは限りません。発症するかどうかは、その人の免疫力によります。
よくあるところでは、お子さんの溶連菌感染から、兄弟・姉妹、親子でうつしてしまうケースが多くみられます。感染力が特に強い時期(抗菌薬の服用から約24時間後)は、念のため「マスクをする」「一緒に遊ぶのを控える」「おもちゃ・タオルの共用などを避ける」など予防すると良いでしょう。
よくあるところでは、お子さんの溶連菌感染から、兄弟・姉妹、親子でうつしてしまうケースが多くみられます。感染力が特に強い時期(抗菌薬の服用から約24時間後)は、念のため「マスクをする」「一緒に遊ぶのを控える」「おもちゃ・タオルの共用などを避ける」など予防すると良いでしょう。
Q.喉が痛くて、固形物が食べられません。どうすればよいでしょうか?
バナナ・お粥・プリン・アイスクリーム・豆腐・ゼリーなど、喉を通るときの痛みが少ないものを食べると良いでしょう。また、水分をこまめに摂って、脱水症状を予防しましょう。また、水分・食事が全く摂れず、薬も飲めないときには、入院治療や点滴治療が必要ですので、総合病院に紹介いたします。お早めにご来院ください。