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花粉症



花粉症とは?

何らかの原因により、鼻の粘膜が過敏に反応して鼻の症状が起こる病気を、鼻炎といいます。特に花粉に反応して起こるものを「季節性アレルギー性鼻炎(=花粉症)」と呼びます。現在、日本人のおよそ4人に1人がスギ花粉症だと言われています。ヨーロッパはイネ、アメリカはブタクサによる花粉症が多いとされています。
よくある症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみです。風邪と間違われやすいのですが、風邪であれば1週間程度で治るのに対し、花粉症は花粉が飛んでいる間は続くこと、さらさらとした水っぽい鼻水が流れること、花粉を吸いこむと急に症状が激しくなることなどの特徴があります。
このほか、体がだるい、熱っぽい、イライラする、喉や顔、首がかゆい、集中力が低下するといった症状を伴うこともあります。

花粉症の原因物質

代表的なものは2月〜5月に飛散するスギ、ヒノキです。夏のイネ、秋のブタクサなども花粉症の症状を引き起こす代表的な植物です。スギ・ヒノキの花粉は1本のスギの木から飛んで行って、最大で約100㎞の距離まで飛びます。それに対してイネ花粉・ブタクサ花粉の飛散距離は100m程度です。花粉の飛散時期や飛散距離を知ること、そして自分が何の花粉症なのかを知っておくことは、毎日を快適に過ごすために大変有用です。

花粉症の診断について

診断は医療機関で行います。問診が最も重要です。例えば毎年春になると鼻水やくしゃみ、目の痒みなどの症状が出るのあれば、高確率で花粉症と考えられます。耳鼻科以外でも、花粉症のくすりの処方を行っている医院はありますが、耳鼻科では、本当に花粉症なのか、花粉症であるなら何が原因なのか、ほかの病気は隠れていないか、など、他の科でくすりをもらうよりも、より詳しく診察を受けることができます。

問診、鼻内の診察

問診だけである程度の推察が可能です。加えて耳鼻咽喉科では、鼻鏡やファイバースコープで鼻内を見ることができます。
鼻内を見る診察では
・鼻粘膜の色調
・鼻内の腫れ
・鼻の通り道のかたち
・分泌物の量と色
を見ることができ、より詳しく状態を知ることができます。
花粉症と思っていたが副鼻腔炎だった、花粉症と思っていたがかぜだった、とうこともあります。

血液検査

通常の採血と、指先から少量の採血で施行できる検査(=イムノキャップ)があります。イムノキャップは、採血の時にじっとしていられないお子さんや、採血検査が苦手な患者様におすすめです。※イムノキャップは手軽で良いのですが、血液量が微量であるがゆえに正確な数値が出ないことがあるため、通常の採血のほうがより正確な結果が出ます。
血液検査はアレルギーの原因物質を知ることができる良い検査ではありますが、症状がないのに血液検査で陽性が出てしまうことがあります。アレルギー性鼻炎や花粉症の診断は血液検査だけで診断するのではなく、症状や鼻の所見と合わせて総合的に判断します。

治療について

①抗原の回避

鼻に入る花粉の量を減らすことは、治療の第一歩で、患者さんにしかできないことです。
・花粉情報に注意するし、花粉が多く飛んでいる日は窓を開けない布団を外に干さない
・外出時にはメガネとマスク、帽子をつける、毛織物など花粉を吸着しやすい上着は避ける
・帰宅時、衣類や髪をよく洗い入室する。洗顔、うがいをして、鼻をかむ
・掃除をする
まずは花粉を鼻に入れないことが、治療の第一歩です。

②内服薬・点鼻薬で治療

花粉症治療の基本となるものです。内服薬、点鼻薬、点眼薬があります。抗ヒスタミン薬、点噴霧ステロイド薬、ロイコトリエン拮抗薬が治療の3本柱になります。中でも、抗ヒスタミン薬には、様々な種類があります。当院では、鼻アレルギー診療ガイドラインに基づき、患者様の症状や所見から、良く効きそうな薬を選択して処方します。「昨シーズンに内服していた薬が効いたので、同じものが欲しい」などのご要望があれば、できるだけ対応しますので、スタッフに申し出てください。

②舌下免疫療法 

抗原エキスの入ったくすりを、舌下部で5分間保持し、飲み込むという治療法です。1日1回、365日、3~5年、毎日続けることにより、約80%の方に有効(=舌下免疫療法を始めるまえよりも鼻炎の症状が軽くなる)といわれています。抗原エキスはスギとダニの2種類があります。治療を開始するためには、血液検査でスギアレルギーまたはダニアレルギーであると証明されることが必須です。
お子さんも舌下免疫療法を受けることができます。「舌下部で5分間保持し、飲み込む」ということが必要になりますので、指示に従うことができる5歳以上のお子さんが対象となります。

③ゾレア(抗IgE抗体オマリズマブ)

ゾレア®(一般名:オマリズマブ)は花粉症の症状を抑える注射のくすりです。薬をのんでも症状がひどい、重いスギ花粉症の方が適応となります。注射は皮下注射で、2週間または4週間ごとに、クリニックで注射をします。花粉症のシーズンが終了したら治療を終了します。

以下の条件をすべて満たすかたに、治療を検討できます。
・花粉症の症状がひどい
・12歳以上である
・体重20㎏~150㎏の範囲にある
・血液検査でスギ花粉抗原に対する血清特異的IgE抗体がクラス3以上である
・血液検査で血清中総IgE濃度が30〜1,500IU/mlの範囲にある
・昨シーズンに内服や点鼻で治療をしても効果不十分であった
・今シーズンになって内服や点鼻で治療をしてもやっぱり効果不十分である
ゾレアは血液検査のIgEの数値と体重に応じて薬剤投与量が決まります。1回の投与量は75㎎~600mgと、患者様によって異なります。ゾレアは薬の値段が高く、ゾレア75㎎で23,625円の価格です(3割負担で約7,000円)これに加えて、受診・検査・処方にかかる費用等がかかります。非常に高額な治療になります。投与量によっては高額療養費制度の対象となります。
ゾレアの治療スケジュール(投与までに最低3回の受診が必要です)

④手術治療 

鼻づまり症状が強い患者様には
・鼻粘膜レーザー焼灼術
・鼻中隔矯正術
・下甲介粘膜下骨切除術
といった手術治療が有効な場合があります。当院では手術治療は行っておりませんが、どういった手術なのかをご説明することは可能ですので、詳しいことを知りたい場合は、スタッフに申し出てください。患者様の鼻の中が、手術治療の効果がありそうな形態かどうか、よく診察させていただきます。手術についてご説明させていただいたうえで、手術を希望される場合は総合病院に紹介させていただきます。

妊娠中の治療について

妊娠中は、女性ホルモンの影響で鼻粘膜の血流が豊富になるため、鼻炎の症状が悪くなることがあります。しかし、胎児に与える影響を考え、妊娠初期は、薬物を用いることはできるだけ控えた方が安全と言われています。使用する場合も、基本的には漢方薬、点鼻薬を用います。ただ、妊娠初期であっても、症状が強くてつらい場合は抗ヒスタミン薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬を処方することがあります。抗ヒスタミン薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬の多くは、添付文書で「妊娠中有益性投与」とされており、妊娠中の方でも服用が可能です。
妊婦だけど花粉症の薬はのんで大丈夫なのかな・・と心配なかたは、受診時に当院スタッフにご相談ください。
また、妊娠と授乳とくすりに関しては、国立成育医療センターのホームページにも載っていますので、詳しく知りたいかたは以下のリンクもご覧ください。

花粉症の目薬について

当院では眼科ほどの詳細な眼の診察はできませんが、花粉症の点眼薬を処方することが可能です。点眼薬を使用しても十分な効果がない場合や、目の症状が強い場合は、眼科の受診をお勧めすることもあります。

花粉症Q&A

花粉症が自然治癒することはありますか?

中高年になって花粉症の症状が軽くなることはあります。自然治癒することはほとんどないと考えられます。花粉のない地域に行けば、症状は出なくなります。花粉症は放置しても治りませんが、舌下免疫療法を行うことにより、症状軽くなったり、症状が出なくなることは期待できます。

お酒を飲むと花粉症は悪化しますか?

飲酒は花粉症を悪化させる要因となります。アルコールの代謝の過程で生成されるアセトアルデヒドは、アレルギー症状を引き起こすヒスタミンの放出を促す作用があります。また、アルコールは血管拡張作用があり、鼻の粘膜が腫れて敏感になり症状を悪化させてしまいます。花粉症がひどいときの飲酒は控えたほうがよいと考えられます。

受験生の子どもがいます。花粉症の対策はどうすればよいですか?

日本の受験時期は、スギ花粉の飛散時期と重なります。症状が出てしまっている場合は、基本的に対症療法としての薬を使用するしかありません。受験は時期(年齢)が決まっているイベントですので、幼い頃から花粉症を発症している場合は、舌下免疫療法を行い、受験に向けて長い目で備えておくというのも、選択肢であると思います。どうしてもひどい場合は、12歳以上に限りますが上述した『ゾレア』を投与する、という選択肢もありますので、内服薬で抑えられない場合は積極的に検討しても良いと思います。
花粉症は、こどもの集中力を低下させます。勉強もスポーツも遊びも、ベストなコンディションで行えるように、上手に症状緩和をして、お子さんが健やかに成長できるためのお手伝いができれば幸いです。